国土交通省が平成29年3月21日に公表した(平成29年)2017年1月1日時点の公示地価によると地方中核都市は三大都市圏を上回る上昇となった。
全国・全用途平均は0.4%上昇とリーマンショック以降初めて上昇に転じた前年に続き、2年連続での上昇となった。
用途別では、住宅地がリーマンショック以降続いていた下落を脱し、9年ぶりに横ばいに転じた。
一方、商業地は1.4%の上昇と前年より上昇幅を拡大し、2年連続の上昇となった。
外国人観光客の増加による店舗とホテル需要の高まりや、再開発事業進展による繁華性向上、主要都市でのオフィス空室率低下による収益性向上を背景に、不動産需要が旺盛で堅調に推移した。
三大都市圏は、住宅地・商業地ともに4年連続で上昇。
うち、住宅地は0.5%の上昇(前年調査時と同様)で、東京圏が+0.7%(+0.6%)、大阪圏が+0.0(+0.1%)、名古屋圏が+0.6%(+0.8%)。商業地は、前年より上昇幅を拡大したが、名古屋圏のみ上昇幅が縮小した。三大圏商業地全体で3.3%の上昇(+2.9%)、東京圏が+3.1%(+2.7%)、大阪圏が+4.1%(+3.3%)、名古屋圏が+2.5%(+2.7%)。
地方圏は、下落幅が縮小し、全用途で0.3%の下落、住宅地で0.4%の下落、商業地で0.1%の下落にとどまった。
このうち、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方中核都市は、住宅地と商業地とも三大都市圏を上回る上昇をみせた。
全用途が3.9%上昇し、住宅地が2.8%上昇、商業地が6.9%上昇した。
また、地方圏のその他の地域では、下落幅が縮小した。
国交省では「地方圏は全体的に、県庁所在地とその周辺市町村で割安感がみられる」とみている。
都道府県別の変動率をみると、住宅地は、沖縄県が+3.0%(+1.7%)、宮城県が+2.4%(+1.9%)、福島県が+2.1%(+2.9%)、東京都が+1.9%(+1.6%)、福岡県が+1.1%(+0.5%)など。
宮城県は全都道府県のなかで初めてリーマンショック前の水準まで回復した。
沖縄県と愛知県、神奈川県、福島県、東京都が08年を100とする地価指数で9割ほどの回復をみせた。
京都府と広島県が下落から上昇に転じた一方、熊本県が地震の影響で上昇から下落に転じた。
これにより、上昇の都道府県数は11都府県となった。一方、2%以上下落した都道府県数は5県から2県へと減少した。
商業地は、三大都市圏の上昇が目立ち、大阪府が+5.0%(+4.2%)だったほか、京都府は前年の+3.2%から+4.5%へ上昇幅を拡大した。
そのほか、東京都が+4.7%(+4.1%)、宮城県が+4.7%(+3.2%)、沖縄県が+3.2%(+2.0%)、愛知県が+2.4%(+2.7%)など。
リーマンショック前の水準まで回復した都道府県はなく、沖縄県と京都府、神奈川県、愛知県、大阪府、東京都が地価指数で9割の回復をみせた。奈良県と岡山県が下落から上昇に転じ、上昇した都道府県数は18都道府県となった。
<公示地価 前年比変動率(住宅地と商業地)>2017.1.1
用途 | 圏域 | 平成25 | 平成26 | 平成27 | 平成28 | 平成29 |
住宅地 | 東京圏 | △ 0.7 | 0.7 | 0.5 | 0.6 | 0.7 |
大阪圏 | △ 0.9 | △ 0.1 | 0 | 0.1 | 0.0 | |
名古屋圏 | 0 | 1.1 | 0.8 | 0.8 | 0.6 | |
三大都市圏平均 | △ 0.6 | 0.5 | 0.4 | 0.5 | 0.5 | |
地方平均 | △ 2.5 | △ 1.5 | △ 1.1 | △ 0.7 | △ 0.4 | |
全国平均 | △ 1.6 | △ 0.6 | △ 0.4 | △ 0.2 | 0.0 | |
商業地 | 東京圏 | △ 0.5 | 1.7 | 2 | 2.7 | 3.1 |
大阪圏 | △ 0.5 | 1.4 | 1.5 | 3.3 | 4.1 | |
名古屋圏 | △ 0.3 | 1.8 | 1.4 | 2.7 | 2.5 | |
三大都市圏平均 | △ 0.5 | 1.6 | 1.8 | 2.9 | 3.3 | |
地方平均 | △ 3.3 | △ 2.1 | △ 1.4 | △ 0.5 | △ 0.1 | |
全国平均 | △ 2.1 | △ 0.5 | △0 | 0.9 | 1.4 |
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